目次
序 章
1 家畜の放牧と個体識別——牧畜社会の生態人類学
2 牧畜社会の魅カ——「ねだり」と相互交渉の人類学
3 トゥルカナの人びとから学んだこと——彼らが教えてくれたこと
4 本書の構成
第1章 トゥルカナの社会と歴史
1 牧畜生活と社会のしくみ
2 トゥルカナの歴史
第2章 家畜の分類と個体識別
1 人びとは家畜をどのように認知し管理しているのか
2 家畜群の構造的な把握法
3 家畜に名前をつける
4 家畜の個体識別
5 家畜が「独自な個体」として扱われることの意味——歴史の結節点
第3章 家畜の贈与と交換
1 市場経済と貨幣の浸透
2 家畜とモノの交換
3 「消費するための家畜交換」とは
4 「消費するための家畜交換」における支払いの交渉
5 「消費するための家畜交換」をめぐる語彙
6 「消費するための家畜交換」にかかわる当事者の人格的な要素
7 「家畜群を増殖させるための交換」とは
8 家畜交換の動機や目的の具体性
第4章 家畜に対する権利
1 所有とはどのような事態か
2 財としての家畜——牧畜社会における諸権利に関する従来の研究
3 「基本家族」における家畜に対する権利——「主管者」の女性
4 息子の成長と家畜に対する権利
5 家畜に対する「権利の束」
6 「持ち駒」を駆使した折衝
7 ラクダの信託と所有——レンディーレとガブラの社会
8 「権利の束」再考
第5章 婚資の交渉
1 婚資の支払いと婚姻の成立
2 婚姻の機会に授受される家畜の種類と頭数、調達方法
3 婚資交渉の事例
4 婚資の交渉をする人びとのふるまい——真剣勝負と気前のよさ
第6章 「ねだり」と対面的な相互交渉
1 「ねだり」というテーマ
2 トゥルカナの人の「ねだり」に魅せられ、悩まされた研究者たち
3 「ねだり」の事例
4 「ねだり」をどのように理解すべきか
終 章
1 対面的な相互行為に賭ける人びと
2 「他者」と〈わたし〉の「かけがえのなさ」
謝 辞
参考文献
索 引