目次
はじめに――ボブ・ディランのノーベル文学賞と黒人霊歌から考える
第1部 声から文字へ
第1章 十九世紀の奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)
1 読み書き禁止法というトラウマ
2 演説が活字になる過程
3 奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の定型と「声」が成熟する過程
4 フレデリック・ダグラスの奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)
第2章 二十世紀の連邦作家計画(ルビ:FWP)スレイヴ・ナラティヴ
1 ニューディール政策による連邦作家計画(ルビ:FWP)
2 ガイドブック
3 オーラル・ヒストリー
4 元奴隷の声が記録されるまで
5 読み書き禁止法の証言
第2部 文字から声へ
第3章 ラルフ・エリスンとヴァナキュラーな声
1 十九世紀奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)と『見えない人間』
2 リテラシーと自由の神話
3 声を求める旅
4 エリスンの未完のプロジェクト
5 FWPインタビューと『見えない人間』
6 奴隷小屋からのストーリーテリング
7 プレ・テクストとしての奴隷制度
8 ニューヨークに現れる南部
9 「ラインハート」という未知なる可能性
10 声と文字をめぐる三つの文学評論
第4章 アーネスト・J・ゲインズと復活した奴隷たちの声
1 新・奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)
2 再燃した奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の代筆の問題
3 再評価されるFWPスレイヴ・ナラティヴ
4 FWPスレイヴ・ナラティヴを擬装すること
5 言い間違い、同じ言葉の繰り返し
6 話の脱線、時間軸の混乱
7 読者に話しかけてくる奇妙な本
8 百十歳の無敵のヒロイン
9 『グラマトロジーについて』と声と文字の問題
第5章 トニ・モリスン作品の声と文字の問題
1 『ソロモンの歌』の奇妙な名前をめぐる描写
2 ユニークな名前に隠された意味
3 名前と識字
4 最小の声の物語としての名前
5 『ビラヴィド』の亡霊はなぜ肉体をもたなければならなかったか
6 亡霊は行間から現れる
7 声と肉体
8 妹と文字文化
9 おびただしい数の奴隷の復活
10 言葉にならない怒りを文字にすること
むすびにかえて