目次
理事長あいさつ
館長あいさつ
植民地期
第1章 日本への渡航
第2章 2・8独立宣言
第3章 関東大震災の受難
第4章 生き抜くために
第5章 解放前のくらし
第6章 社会・労働・独立運動
第7章 強制連行
第8章 皇国臣民化教育の狂気
解放
第9章 解放の喜び・帰国
第10章 民族の誇りをもって
第11章 奪われた言葉を子どもたちに
第12章 管理と弾圧
第13章 分断と戦争
第14章 失業と貧困、どん底のくらし
第15章 北帰行
第16章 差別撤廃への叫び
第17章 人差し指の自由を
第18章 活躍する人々
第19章 受け継がれる風俗
第20章 家族の肖像
在日100年年表
寄贈者・提供者・協力者名
開設賛同金募金者名
資料館施設の紹介
利用案内
前書きなど
在日韓人歴史資料館開設3周年を迎えて
鄭進
在日本大韓民国民団中央本部団長
在日韓人歴史資料館理事長
在日韓人歴史資料館は、2005年11月24日に開設されました。当館は、在日が日本へ渡航した事情、当時の生活実態、権益擁護運動、民族教育、文化・芸術活動などの各種資料を収集・整理し、それらを展示・公開することを通じて、在日の歴史を後世に伝えていくことを目的としています。
ご存知のように当館では、在日を総体的に網羅し、個人の信条や所属団体、あるいは国籍の如何にはとらわれずに、あくまでも客観的な視点から歴史事実を集めること、すなわち史料中心の立場をとるという基本理念を掲げています。世界各地で普遍的に使われている「韓人」という名称を館名に取り入れたのも、そうした当館設立の趣旨に基づいたものです。
この度、開設3周年を迎え、待望の図録『写真で見る在日コリアンの100年』が発刊されることになりました。ここに新たなる一歩を踏み出せましたことを心より嬉しく感じております。振り返れば、開設2年目の昨年6月には展示室をリニューアルし、3年目の今年9月から10月にかけては「大阪特別展」を開催しました。当館は、各界各層より物心両面からの多大なご支援を賜りながら、着実に前進して参りました。お陰様で3周年の目標であった1万人の来館者もすでに達成しております。
在日韓人歴史資料館は、今後も発展していく施設です。貴重な歴史資料はまだどこかに埋もれているはずですし、それらを発掘しながら展示の拡充や運営の確立に力を傾注しなければなりません。そのためには、何よりも皆様のご支援ご協力が必要です。今後とも当館に大きな関心と期待を寄せて下さいますよう、心よりお願い申しあげます。
在日100年史の理解が深まることを
姜徳相
在日韓人歴史資料館館長
滋賀県立大学名誉教授
歴史資料館開設の準備の段階から5年の歳月が流れました。
準備の2年は資料のありそうな同胞宅を個別に訪問し資料の有無を聞きましたが、「先代の在世中はあった」「引越しをする前はあったがすでに焼いた」との話がほとんどでした。もう10年早かったらというのが空振りの実感でした。
2005年11月のオープンはギリギリの見切り発車でした。広くもない展示室は資料不足の空間が、それこそ虚しく見えたものでした。
しかし、オープン後は状況が変わりました。資料館に来られた人は「こんなものなら我が家にもある」「同じような写真は我が家のアルバムにもある」という話をしてくださいました。
同胞たちは押入れの隅にあった「ガラクタ」が立派な歴史資料であることに気がついたのです。渡航証明書、本名を消された通信簿、戦時下の債券、協和会手帳、解放を祝う各地の同胞たちの写真、解放直後の手作り教科書、民族学校の卒業アルバムなどの提供が続出しました。
こうして当館の所蔵資料はオープン1年にしてほぼ倍増しました。
それは在日同胞の自発的資料館作りへの参与であります。図録はそうした同胞たちの熱意に押されて発刊されました。収められたものは資料館が重要と判断した遺品、写真、文書資料を項目や時代性の理解を容易にするため、可能な限り三位一体に編集、図録を通して在日100年史の理解が深まるよう配慮したつもりです。
おわりに待望の歴史資料館が100年にしてようやく開設をみたことを喜ぶと共に、惜しみない支援を寄せられた民団の皆様方に心から感謝を申し上げます。