目次
序章 《時間》のかたち
第1章 寺山修司《書を捨てよ町へ出よう》―映画における音楽の機能
1 寺山修司とはだれか
2 寺山修司と芸術経験の変容
3 断ち切られるプロット
4 四つのシーン
5 音楽が開く別な場所
第2章 小津安二郎の時空表象
1 時空とその変容
2 小津映画の画面構成とその特徴
3 溝口健二の時空
4 断片化した空間と滞留する時間
第3章 是枝裕和《歩いても歩いても》―時間の淀み
1 現在に潜む過去と「小さな物語」
2 たった一日の物語
3 「普通」という言葉
4 日常に走る亀裂
第4章 可能性としての「用即美」・柳宗悦―ものがある場所
1 「有用性の蝕」と「用即美」という神話
2 柳・民芸思想の歴史的布置
3 個人の没落と機能主義
4 「用即美」を解体する
第5章 夏目漱石『道草』が書かれた場所
1 『草枕』・「非人情」の世界
2 「だらしない自然」のリアリズム
3 「人情」対「非人情」を超えて
4 「盲動」する眼差し
5 『道草』の眼差しと未完了の過去
6 「人格」が解体され続ける世界としての金銭
7 断念が開く場所
おわりに