目次
4月 だいたい――区間推定
5月 くらべる――t検定
6月 まえおき――比較の前提条件
7月 かんれん――相関関係
8月 つながり――因果関係
10月 みあやまり――擬似相関
11月 くみあわせ――交互作用
12月 あつまり――原因同士の関連
1月 ちょうせい――散布図
前書きなど
◆プロローグ
原因と結果。
そんなの,すぐに見つかるはず。
ずっと私は,そう考えてきた。
科学が発展して,新しい発見があって,原因がわかるようになって。
そうやって,世界が次々と変わってきた。
きっと,何もかもが明らかになる,そういう時代が来るだろうって。
自分のまわりのことも同じ。
原因なんて,簡単にわかる。
だってみな,あの原因はこれだ,この原因はそれだって,言っているじゃない。
ちょっと注意深く物事を見れば,すぐに何が原因か,わかるはず。
でも実際は,そんなに簡単じゃないみたいだ。
例えば,いま。
あなたは何をしている?
どうして,それをしているの?
たった1つの原因だけで,それをしているの?
他にも原因があるんじゃないかな?
そう,それ。
でも,それだけじゃない。
もっとほかにも。
ほかにも。
もっと。
原因を考え出すと,止まらなくなる。
あれもこれも,何かに影響を与えていて,それがまたほかのものに影響する。
そう。
延々と続いていく。
私たちはただ,「それが原因だろう」って,決めつけているだけ。
どうやったら,ちゃんと原因にたどり着けるんだろう。
どうやったら,それが見えるようになるんだろう。
統計と心理学を学びながら,そんなことを考えた。
これはそんな,私の大学生活の物語。