目次
キリギリスとアリ ―はたらくこと馬車馬のごとく、あそぶこと山猿のごとし
切りとれ、この祈る耳を ―耳切り一団
3・11になにをしていたか? ―とうとう江戸の歴史が終わった
豚小屋に火を放て ―伊藤野枝の矛盾恋愛論
甘藷の論理 ―うまい、うますぎる!
地獄へ堕ちろ ― ヘイトスピーチか、それともスラムの念仏か
他人の迷惑かえりみず ―心得としての高野長英
お寺の縁側でタバコをふかす ―大逆事件を旅してみれば
豚の足でもなめやがれ ―もののあはれとはなにか?
大杉栄との出会い ― 赤ん坊はけっして泣きやまない
ヘソのない人間たち ―夢をみながら現実をあるく
反人間的考察 ―歴史教科書としての『イングロリアス・バスターズ』
豚の女はピイピイとわめく ―老荘思想の女性観
だまってトイレをつまらせろ ―船本洲治のサボタージュ論
あとがき
参考文献
初出一覧
前書きなど
これだけ仕事がなくなっているのだから、もうみんなでたすけあって、はたらかないで食べていく道をさぐったほうがいいのではないか。というか、そういうたすけあいこそ、ほんらい労働とよぶべきではないだろうか。みんなが小躍りしてしまうようなたのしい空間をつくることこそが、ほんとうの意味での労働ではないだろうか。そういってくれないなら、はたらこうとなんてするもんか。あそびたい、あそびたい、あそびたい。キリギリスが物語の主人公になったとき、いままでとは、ぜんぜんちがった世界がみえてくる。きっと労働倫理だって、そういうところからまったく別のものがうまれてくるはずだ。はたらかないで、たらふく食べたい。これがあたらしい格言だ。(「キリギリスとアリ」より)