目次
はじめに
序章 「流用」によるアートの誕生
1 社会の工業化と「流用」のアート
2 社会のメディア化とアートの変化
第1章 「既にあるもの」と現代アート
1 想像力は商品をアートに変える
2 アート表現をめぐる二千年の課題
3 表現の手段はボーダーレス化へ
第2章 抽象表現主義とネオダダ
1 線の重なりとして可視化された時間
2 絵画は一枚の平面にすぎない
3 コラージュからコンバインへ
4 アトリビュートとしての廃タイヤ
5 感じ取るアートの登場
第3章 ミニマリズム
1 what から how へ
2 平面化から抽象化能力へ
3 無機質なホワイトキューブと「場」の創出
第4章 アート表現に置き換えられる身体行為
1 「描く」ことから、自らが「動く」ことへ
2 流用で身体をアート化させる
3 日常がアートになっていく
第5章 コンセプチュアル・アート(概念芸術)
1 「情報」を流用する
2 「実物」と「写像」そして「注釈」
3 潜在するメッセージを解き明かす
第6章 「場」を流用し、表現を拡張する
1 ロンドンの復権とミュージアムの変容
2 変容し続ける“アート化システム”
3 ランド・アートへの展開
4 包み込むか、さもなくば爆発か
5 環境を意味付けるアート表現
第7章 ポップ・アートの登場と展開
1 コラージュされる大衆の欲望
2 流用するならベストセラーを
3 大衆化社会と価値観の倒錯
第8章 アメリカのポップ・アート
1 商品が作品に置き換わる
2 日用品のメッセージ、アイドルのメッセージ
第9章 ゴミという素材へのこだわり
1 廃棄物も流用されてアートになる
2 他者の記憶を流用する
第10章 ポストモダニズム
1 シミュレーショニズムと身辺のアート
2 二十世紀「世紀末」芸術
3 流用して意味を付加する
第11章 なりきることで生まれ変わる
1 他人の身体を流用する
2 理想の女性像を求め続ける
3 身体はメディア化されていく
4 私は名画の主人公
第12章 拡張される写真の正面性
1 流用された正面性のまなざし
2 写真は記憶を写し出す
第13章 流用は時間を変容させていく
1 純白の写真になった映画の時間
2 一枚の写真で可視化された歴史
3 映像化された絵画の時間
第14章 メディアを超えて連鎖する流用
1 個人の記憶をパブリックな場へ
2 流用は一度にとどまることはない
第15章 ライフスタイルと重なり合うアート
1 イラストとフィギュアの一九八〇年代日本
2 食玩からアートになったフィギュア
3 アート化し続けるサブカルチャー
4 遠近法の西欧、フラットな日本
5 幼児性を脱却した二頭身
終章 「流用」が紡ぐ神聖からキッチュまで
注
図版一覧
あとがき
人名索引