目次
はじめに
Ⅰ 総論
1 前提としての歌詞論
歌は意味をふりきって進む
副産物である歌詞が「第三の詩歌」になるとき
作者からの自由
2 素養としての人物論
ペンネームについて
容貌について
ドラマチック無用
生い立ち
作詞家阿久悠誕生
『スター誕生!』のころ
わらしべ長者は何をめざしたのか
時代おくれの男になりたい
自意識系Jポップへの異議
男らしさは自動販売機に売っているか
3 応用としての作詞論
ジャンル横断的
作詞のパラドックス
美空ひばりへの迂回
手品のタネはタイトルにあり
先後するテクスト
Ⅱ 各論
1 境界にたたずむ人たち
「津軽海峡・冬景色」 海峡という境界を超えるとき
「せんせい」 思い出を語るのは誰か
「北の宿から」 私から私へ
「舟唄」 すべては弔(とむら)いのために
「雨の慕情」 唐突に雨が降る理由
「居酒屋」 男のからみ方、女のかわし方
「嫁に来ないか」 言ったあとで考える
「ざんげの値打ちもない」 抑圧された記憶
2 行き先未定のまま走る人たち
「恋のダイヤル6700」 卒業式の前日の出来事
「どうにもとまらない」 噂からの解放と過激なオートマチズム
「ペッパー警部」 邪魔される快感
「UFO」 〈それでもいいわ〉という生存戦略
「勝手にしやがれ」 男の微妙な策略
「時の過ぎゆくままに」 自選ナンバーワンは不可解な歌
「ブルースカイブルー」 室内と屋外
3 応答なき呼びかけをする人たち
「また逢う日まで」 ドアの記号論
「ジョニイへの伝言」 見かけと本心
「五番街のマリーへ」 淡いつながり
「青春時代」 二重のモラトリアムの終わり
「あの鐘を鳴らすのはあなた」 「私」はどこにいるのか
4 自分を空想する人たち
「狼なんか怖くない」 赤い色の誘惑
「わたしの青い鳥」 幸せがむこうから飛んでくる
「もしもピアノが弾けたなら」 なぜピアノが必要なのか
「さらば涙と言おう」 ライトな根性論
「熱き心に」 大景は作りにくい
5 名前を呼ばれる人たち
「ウルトラマン・タロウ」 似ているものは兄弟である
「宇宙戦艦ヤマト」 旅立ちの瞬間はいつまでも
「ヤマトより愛をこめて」 メッセージは宛先に届くか
Ⅲ 補論
1 阿久悠には書けない歌詞 阿木燿子の「プレイバック part2」
2 阿久悠のようには書けない歌詞 GReeeeNの「キセキ」
あとがき