紹介
この一冊で「知覚の哲学」の全貌がわかる
「知覚の哲学」の基本トピックを整理・紹介しつつ、心理学・認知科学・美学などの知見を交え、「見ることと考えることの境界線」を探る、現代哲学の最先端。
20世紀はじめにセンスデータ説によって興隆をみせた「知覚の哲学」。一度は忘れ去られたこの領域が一世紀を経て、意識の自然化の問題に注目が集まったことにより、新たに息を吹き返した。
分析哲学、現象学、心の哲学、美学、認知科学、認識論や存在論を総動員した最新の「知覚の哲学」から、事物の種類、他者の情動、音の不在、美的性質など、一見すると「理解」「判断」されると思われるものが、実は知覚されうる可能性を探る、野心的な試み。
目次
まえがき
序論 見ればわかる?
第1章 知覚可能性の問題
1 問題の定式化
2 分析哲学・現象学・経験科学
3 この問題を問う意義はあるのか
4 知覚理論から存在論と認識論へ
第2章 知覚の哲学の基本
1 幻覚論法とセンスデータ説
2 直接実在論としての表象説
3 現象的性格と透明性
4 その他の基本事項――関係説・概念主義
第3章 種性質の知覚
1 知覚とカテゴライズ
2 本物と偽物は見分けられない
3 知覚学習と現象的対比
第4章 他者の情動の知覚
1 素朴心理学
2 現象学的事実と知覚メカニズム
3 典型的な知覚とのアナロジー
第5章 不在の知覚
1 無音の不可能性
2 音の隙間を聴く
3 不在知覚説からの応答
4 高次モード知覚説(1)
第6章 美的性質の知覚
1 シブリーの知覚的証明
2 高次モード知覚説(2)
3 美的性質の実在論が抱える問題
4 反実在論と知覚のモード
第7章 知覚の存在論と認識論
1 知覚のモードと傾向性実在論
2 現象的性格に基づく正当化
結論 何がわかったか?
あとがき
文献一覧
索引