紹介
古代世界に由来する神話はナショナル・ギャラリーで最も人気があるいくつかの絵画に霊感を与えていた。これらの作品の核心にあるのは、幻想的な風景の中で神秘的な神の被造物たちによって演じられた、魅力的な──英雄的、悲劇的、あるいは官能的な──数々の物語である。これらの作品が描かれた当時の鑑賞者たちは、このような古代の記憶を呼び覚ます物語についての知識があり、そこに描写されているシンボルや身振り、複雑なプロットを意識していたのであろう。しかし、現代の多くの鑑賞者にとって、これらの物語は謎めいたものになる一方である。このポケットガイドが提供するのは、神や女神、ニンフや怪獣たちといった、一連の興味をそそる登場人物たちを通じた、神話へのわかりやすい入門書である。物語を特定の絵画に関係づけることによって、本書は、注文主にとってそうした絵画がもっていた魅力や、何世紀にもわたって生き続けているその訴求力を探っている。
目次
緒 言
序 文
神話と伝説
神々の残存
神話と道徳
失われた古典古代の精神
プライヴェートな楽しみ
政治的アジェンダ
公共的イメージ
神話の出典
神話の登場人物
神と女神
ニンフと乙女
異種混淆の神の被造物たちと怪物たち
結 語
用語解説
さらに理解を深めるための読書