目次
序文
謝辞
要旨
なぜ学習に大きな関心を持つのか
本書『学習の本質』の対象範囲
学習について共通する結論
難しい教育的課題
第1章 21世紀の学習環境の分析と設計
――ハンナ・デュモン、デビッド・イスタンス、平沢安政 訳
はじめに
第1節 学習が舞台の中心へ
第2節 なぜ学習環境なのか
第3節 本書の目的
第2章 学習についての理解の歴史的発展
――エリック・デ・コルテ、佐藤智子 訳
はじめに
第1節 20世紀の主要な学習概念
第2節 学習理論と教育実践:ぎこちない関係
第3節 学習の最新理解
第4節 結論と政策的含意
付録
第3章 学習の認知的視点:重要な10の知見
――マイケル・シュナイダー、エルスベス・スターン、赤尾勝己 訳
第1節 序論:学習の認知的視点
第2節 学習の認知的研究からの重要な10の知見
第3節 結論
第4章 教室での学習において、動機と感情が果たす重要な役割
――モニーク・ベカルト、中澤智惠 訳
はじめに
第1節 動機に関わる信念と感情が学習に対して持つ効果
第2節 動機づけの主要原則
第3節 政策への示唆
第5章 発達と生物学的視点からみた学習
――クリスティーナ・ヒントン、カート・W.フィッシャー、岩崎久美子 訳
はじめに
第1節 心、脳、教育についての研究
第2節 遺伝と経験
第3節 いかに人々は学習するのに脳を用いるか
第4節 情動と認知は脳と密接なつながりがある
第5節 言語とリテラシー
第6節 数学
第7節 人々は異なる学習経路にしたがって多様に脳を使う
第8節 人々は文化的背景を持った社会的相互作用を通じて学ぶために脳を使う
第9節 学習環境のデザインにとっての意義
第6章 形成的アセスメント:効果的な学習環境における役割
――ディラン・ウィリアム、有本昌弘 訳
はじめに
第1節 なぜアセスメントは学習で重要なのか
第2節 フィードバックとしての形成的アセスメント
第3節 授業の一部としての形成的アセスメント
第4節 形成的アセスメントと学習のためのアセスメント:理論的な統合
第5節 形成的アセスメント:重要な指導プロセス
第6節 形成的アセスメントと学習過程の調整
第7節 要約
第7章 共同学習:何がグループワークを機能させるのか
――ロバート・E.スレイヴィン、笹井宏益 訳
はじめに
第1節 共同学習の方法
第2節 構造化されたチーム学習の方法
第3節 インフォーマルなグループ学習法
第4節 何が共同学習を機能させるのか
第5節 21世紀に向けての学習環境における共同学習
第8章 テクノロジーを活用した学習
――リチャード・E.メイヤー、福本徹 訳
はじめに:テクノロジーを活用した学習
第1節 学習の科学:人々はテクノロジーを活用してどのように学ぶか
第2節 教授の科学:テクノロジーを活用して学習をどのように支援するか
第3節 テクノロジーを活用した学習に対するインストラクショナルデザインの原則
第4節 結論
第9章 調べ学習:その可能性と挑戦
――ブリジッド・バロン、リンダ・ダーリング=ハモンド、駒谷真美 訳
第1節 21世紀のスキルを支える調べ学習の必要性
第2節 調べ学習における歴史的視点
第3節 調べ学習の研究評価
第4節 調べ学習におけるアセスメントの重要性
第5節 調べ学習における共同の支援
第6節 調べ学習の挑戦
第7節 教師は生産的な調べ学習をどのように支援できるか
第8節 要約と結論
第10章 サービス・ラーニング:学習資源としてのコミュニティ
――アンドリュー・ファーコ、荻野亮吾 訳
第1節 サービス・ラーニングの高まり
第2節 教育方法の本質
第3節 サービス・ラーニングの生徒への影響
第4節 今後の課題
第11章 家庭と学校のパートナーシップ:子どもの学習と社会化への家族の影響
――バーバラ・シュナイダー、ベネッサ・キースラー、ラリッサ・モーロック、野村和 訳
はじめに
第1節 家族は子どもの学習の発達にどのような影響を及ぼすか
第2節 学校の成果への家族の影響
第3節 結論:家庭と学校のパートナーシップの強化
第12章 イノベーションの実践:空想的モデルから日常的実践へ
――ローレン・B.レズニック、ジェームズ・P.スピレーン、パム・ゴールドマン、エリザベス・S.ランゲル、村川雅弘 訳
はじめに
第1節 教育におけるイノベーションへの挑戦
第2節 組織的な設計のためのストラテジー:社会学と組織理論
第3節 学校実践の再設計:組織的な変化のための「カーネル・ルーチン」
第4節 結論の要約
第13章 21世紀の学習環境の方向性
――デビッド・イスタンス、ハンナ・デュモン、立田慶裕 訳
はじめに
第1節 重要な横断的結論
第2節 要求の多い教育課題
第3節 実現に向けての課題
付録 『学習の本質』実践用ガイド
――ハンナ・デュモン、デビッド・イスタンス、フランシスコ・ベナビデス編、立田慶裕 訳
はじめに
第1節 学習の基本的条件
第2節 学習の7つの原理
第3節 21世紀の重要な変化
第4節 イノベーティブな学習環境のためのブロック
第5節 結論
監訳者あとがき
学びのイノベーションに向けて(平沢安政)
イノベーション研究の活用から実践へ(立田慶裕)
監訳者・訳者紹介
前書きなど
人がどのように学習するかについて、私たちは何を知っているのだろうか? 人はどのようにしてその知識を構成していくのか? 若者の動機や感情は、その学習にどのように影響するのか? 調べ学習、共同学習、テクノロジーの活用、形成的アセスメント、サービス・ラーニングなどの利点として、研究から明らかにされていることは何か? そうした学習法が最も効果的になるのはどのような場合か? そして、学習は家庭環境からどのような影響を受けるのか?
本書は、こうした問題について認知的、情動的、生物学的、社会学的観点から、欧米の代表的な研究者の実証的な根拠に基づく知見をもとに詳細な検討を進める。そして、学習の本質とさまざまな教育的実践の双方の研究成果から、21世紀に求められるスキルやコンピテンシーと優れた学習環境のあり方を提起する。本書がまとめた7つの重要な原理は次の通りである。
1)学習者を中心とする
2)学習の社会性を重視する
3)感情が学習にとって重要である
4)個人差を認識する
5)すべての生徒を伸ばす
6)学習のアセスメントを活用する
7)水平的な関係をつくる
本書は、効果的な実践と教育改革に向けた貴重な知識と考察を提供し、教室、学校、その他の環境で学習を最適化する方法に関心を寄せるすべての人にとって必須の文献である。