目次
特集・舞台/芸術
芝居小屋の魅力(唐十郎+松本修+西堂行人)
記憶の中の戯曲研究会(西田耕三)
●小特集 美術あるいは劇場——行為としての作品、客体としての行為
行為媒体(エージェンシー)による、芸術諸ジャンルの微分と積分 The differentiation/ integration of the arts through agencies/ the medium of action(岡崎乾二郎[口絵解説])
ジョン・ケージへのインタヴュー(聞き手=リチャード・シェックナー+マイケル・カーヴィー/訳と解題・中井悠)
おたじゃうひ たじゅやひ おたんう よひ おやわい およわい——コンクリート・ポエトリーのためのマニフェスト(エイヴィンド・ファールストレーム/訳と解題・中井悠)
夥しさのなかにおいて定量的にミニマルなダンス活動に見られるいくつかの「ミニマリスト」的な傾向の概括らしきもの、あるいは《トリオA》の分析(イヴォンヌ・レイナー/訳と解題・中井悠)
ダンスについてのノート(ロバート・モリス/訳と解題・中井悠)
内的空間で働く技術を図解する(スティーヴ・パクストン/訳・中井悠)
行為者なしの行為ACTION WITHOUT ACTOR——1960‐70年代におけるパフォーマンスの問題系(図版構成=高嶋晋一/翻訳[協力]=中井悠)
メディウムの肌理に逆らう——ロザリンド・クラウスにおけるポストメディウムの条件(石岡良治)
言葉を教える-苦痛——テレサ・ハッキョン・チャ『ディクテ』をめぐって(青木純一)
詩と身体の交錯——村山知義とアヴァンギャルド時代の空間(高橋宏幸)
●小特集 社会主義リアリズム芸術再考
社会主義リアリズム図像学の誕生についての覚書(ヨシフ・バクシュテイン/訳・鴻英良)
社会主義リアリズム絵画における宗教的モチーフ(コーマル&メラミード/訳・鴻英良)
レーニン主義からスターリン主義へ(スラヴォイ・ジジェク/訳・鴻英良)
訳者解説 スターリン体制下のソヴィエト芸術の再評価をめぐって(鴻英良)
哀悼劇としての写真 書評:田中未知編『写真屋・寺山修司』(八角聡仁)
映画の分類学と(複数の)映画史 書評:ジル・ドゥルーズ『シネマ1*運動イメージ』(石川義正)
風をはらむ知 書評:池内靖子『女優の誕生と終焉』(田村千穂)
近代のひずみ——中井正一と保田與重郎(長濱一眞)
前書きなど
2号に続いて本3号も発行の遅延を余儀なくされたが、ようやく刊行することができた。特集を「舞台/芸術」とし、巻頭の唐十郎当研究所所長の自在なトークをはじめ、四谷アート・ステュディウムの研究員・講師の諸君の総力を上げた小特集「美術あるいは劇場」では、現代芸術の最先端のムーヴメントを紹介・批評する原稿を掲載することができた。もうひとつの小特集「社会主義リアリズム芸術再考」は、これとコントラストをなしつつ、通底する問題を提示しているものと思う。その他、特集内では近大内外の関係者の協力を得て、多様な論考を掲載することができた。特集外の長濱一眞論文は、二〇〇七年度に近大文芸学部大学院に修士論文として提出されたもの(六〇〇枚に及ぶ)の一部だが、中井正一と保田與重郎との戦時下人民戦線をめぐる秘められた論争を発掘し討究したもので、瞠目すべき論考である。このような論文を掲載しえたことも、本誌の喜びである。(S)