紹介
●叢書の第1弾。「魂の植民地化」とは、自由なはずの魂の活動が、人間社会によって呪縛され、本来の自分を発揮できない状態のこと。
国家による植民地化だけでなく、親や学校、共同体、社会の空気・思想などが個人の魂を呪縛し植民地化する。
●その働きをを解明し、偽装した自分によって、本来の情動や感情がいかにおさえられているか、明らかにする。
著者のゼミの学生たちが、この理論を応用して、性的マイノリティや「よい子」の呪縛から解放されていくプロセスも紹介。
●原発のフクシマでは、子供を連れた県外脱出者を追いつめている共同体の呪縛を考える。
●宮崎駿監督の『ハウルの動く城』を脱植民地化論で鮮やかに読み解く。
●従来の客観主義ではなく、自らの魂の生きる社会、それを見据える新しい学問を提案する。
目次
第1部 私自身のプロセスからの考察
1 魂の植民地化とは何か―呪縛・憑依・蓋
2 魂の遍歴―日本における文革体験と中国でのフィールドワーク
第2部 魂の脱植民地化理論の新展開
3 ゼミ学生とのやりとりによる概念の発展
4 「魂の脱植民地化」研究の展開
第3部 魂の植民地化・脱植民地化研究の応用
5 『ハウルの動く城』に見る魂の脱植民地化過程
6 フクシマ・ディアスポラ―ゆがめられた言説が生む苦悩と葛藤
終章 魂の脱植民地化に向けて―「蓋」と「箱」の構造