紹介
▼研究者・政策担当者の間で話題となった『産研叢書 環境分析用産業連関表』の続編。前著で構築した95年環境IOの枠組みに則り、2004年公表の「2000年産業連関表」を使用した「2000年環境IO」を作成するとともに、推計方法の更なる精緻化を進めている。▼前著で行った各種テーマについてCO2排出量を再推計し、環境負荷の面から事業評価等を行っている。さらに、2国間のCO2排出量を統一的枠組みで比較できるように、慶應義塾大学産業研究所が進めてきたEDEN(環境・エネルギー問題分析用産業連関表:東アジア9カ国の国際比較のための統一的分析枠組み)形式への変換も行っている。▼「ポスト京都議定書」の新たな枠組み構築に向け、CO2排出量の推計に独自の分析手法と貴重な資料を提供する一冊。研究者・政策担当者はもとより、事業のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)型評価方法に関心をもつ企業・自治体関係者、環境経済学を学ぶ学生にもお薦めしたい。
目次
第1章 平成12年環境分析用産業連関表の推計 1 はじめに 2 環境分析用産業連関表の構成 3 環境分析用産業連関表の推計 4 推計結果 5 EDEN形式への変換 6 おわりに第2章 生産活動によって誘発されるCO2排出量 1 はじめに 2 推計モデル 3 推計結果 4 おわりに第3章 環境家計簿作成のためのCO2排出点数表 1 はじめに 2 2000年のCO2排出の概要 3 居住者1人あたりのCO2排出量 4 環境家計簿作成のためのCO2排出点数表 5 おわりに第4章 補助金制度による温暖化対策の評価——住宅用太陽光発電装置のケーススタディ 1 はじめに 2 先行研究 3 モデルの体系 4 モデルの全体とわが国補助金制度の評価 5 シミュレーション——補助率の変更 6 おわりに 補論 太陽光発電装置費用関数の導出第5章 ITS車載器導入による環境負荷削減効果 1 はじめに 2 ITSの導入にともなう環境負荷削減効果(基準ケース) 3 ITSの導入にともなう環境負荷削減効果(補助金支給ケース) 4 考察 5 おわりに第6章 光ファイバーの構造とケーブルの敷設によるCO2負荷 1 はじめに 2 光ファイバーケーブル敷設状況 3 光ファイバーの製造・敷設によるCO2負荷 4 光ファイバーの製造工程とCO2排出——積み上げ法との比較 5 おわりに第7章 日本とカナダ間の技術代替と貿易によるCO2排出 ——生産立地による影響の2国間産業連関分析 1 はじめに 2 データソースと基本モデル 3 カナダと日本の商品によるCO2排出比較 4 カナダと日本の貿易からのCO2排出 5 太陽電池生産からのCO2の比較——共同実施への投資のインプリケーション 6 おわりに