紹介
西田哲学と福岡生命科学は驚くほど似ている!
生命の定義と知の統合に向かう京都学派の記念碑的成果!
「動的平衡」概念の提唱者・福岡伸一氏(分子生物学者)が、西田哲学の継承者・池田善昭氏(哲学者)を指南役に、専門家でも難解とされる西田哲学を鮮やかに読み解く。その過程で2人の碩学は生命の真実をがっちり掴む1つの到達点=生命の定義=にたどり着く……。
西田哲学を共通項に、生命を「内からみること」を通して、時間論、西洋近代科学・西洋哲学の限界の超克、「知の統合」問題にも挑んだスリリングな異分野間の真剣"白熱"対話。
福岡伸一訳西田幾多郎「生命」、池田―福岡往復メール、書き下ろし(プロローグ、「動的平衡」理論編、エピローグ)も収録!
目次
プロローグ 西田幾多郎の生命論を解像度の高い言葉で語りなおす[福岡伸一]
ダイアローグ
第1章 西田哲学の森に足を踏み入れる
西田哲学と福岡生命科学
哲学者からの期待
生物学のゴールとは何か
生命とは何かを語る言葉
よくわからなかった西田哲学
西田哲学は後ろから見れば解きやすい
ピュシス対ロゴス
存在と存在者
ピュシスに還れ
存在と無の「あいだ」
「あいだ」の思考
第2章 西田哲学の森に深く分け入る
「~でなければならない」という独特の文体
「歴史的自然の形成作用」
「主客未分」
「純粋経験」
「自覚」と「先回り」
「行為的直観」と「先回り」
今西錦司の「棲み分け理論」
「逆限定」
年輪と環境の「逆」限定
「絶対矛盾的自己同一」
ピュシスを語る言葉
第3章 西田の「逆限定」と格闘する
年輪は作られつつ歴史を作る
年輪から環境への逆向きの力とは何か
歴史は観測したときに初めて作られるのか
「年輪が環境を包む」と言えるためには何が必要か
逆限定を解く鍵は時間か
生命が時間を生み出す作用としての「逆限定」
福岡―池田往復メール
「逆限定」がピュシスの時間を生み出している
もう一度「自覚」について
「行為的直観」「場所」「絶対無」
「歴史的自然の形成作用」とは何か
第4章 福岡伸一、西田哲学を読む
西田の問いに対する真摯さ
西田の『生命』を読む:「個物的多」と「全体的一」
「多(一)の自己否定的一(多)」「過去と未来との矛盾的自己同一」
西田の『生命』における「ロゴス」
絶対現在の自己限定――時間と時刻
西田の生命論はそのまま「動的平衡」論である
福岡伸一訳西田哲学
第5章 動的平衡と絶対矛盾的自己同一の時間論
動的平衡論の「生命の定義」と西田の「歴史的自然の形成作用」
画期的な実在論としての「生命の定義」
西田哲学によって福岡生命科学を基礎づける
動的平衡論の「先回り」における時間
時間と空間はいかに取り違えられやすいか
かけがえのない「いま」を生きる
動的平衡の数理モデル(構想)
第6章 西田哲学をいまに活かす
ダイアローグの効用
対話によってもたらされた「5つの気づき」
近代科学では「時間」が消されている
モノを見過ぎた科学、自然が見えていなかった自然科学
動的平衡論vs機械論:マイナーであっても言い続ける
因果律では逆限定を語れない:「同時性」の問題
生と実在と論理は一つのものである:統合する学としての西田哲学
統合のために自分の道具を持つ
大切なことは隠されている
ピュシスの側からみた動的平衡 理論編[福岡伸一]
エピローグ 生命を「内から見ること」において統合される科学と哲学[池田善昭]