目次
推薦の言葉(木曽功)
推薦の言葉(中山修一)
日本語版への序文(ゲアハルト・デ・ハーン)
本書の概要(由井義通)
第1章 持続可能な開発のための教育-背景・正統性・(新たな)コンピテンシー-
第1節 背景:持続可能性をめぐる議論
第2節 国内外におけるESD
第3節 ESDに革新的な学習形態が必要な理由
第4節 変化しつつある「形成能力」:新たなコンピテンシーとその正統性
第5節 各コンピテンシーはどう正統化され、どれが新たに加わったのか?
5.1 相互作用的にメディアと道具を用いる
5.2 異質な集団で交流する
5.3 自律的に活動する
第6節 附記:新たな3つのコンピテンシー
6.1 不完全で極めて複雑な情報を扱う能力[T.4]
6.2 個人の決定のジレンマを処理する能力[G.2]
6.1 道徳的行動をとる能力[E.2]
参考文献
関連リンク
第2章 学校におけるESD:KMKおよびDUKによる勧告-2007年6月15日-
はじめに
第1節 学校におけるESDの目標設定
第2節 ESDを実践するためのヒント
2.1 コンピテンシーの獲得
2.2 校内での協力および校外の各機関との協働
2.3 授業における持続可能性のテーマ
2.4 教員養成
インターネット上で入手できる文献一覧
第3章 ESDのコンピテンシー-正当性・能力基準・学習の提案-
序節 前期中等教育修了までのESDの目標設定と学習の提案
第1節 「持続可能な開発」の行動領域の普通教育に対する貢献
第2節 ESDのコンピテンシー領域
第3節 「形成能力」のコンピテンシー領域
3.1 相互作用的にメディアと道具を用いる[T]
3.2 異質な集団で交流する[G]
3.3 自律的に活動する[E]
第4節 学習の提案
参考文献
第4章 「ESD学校」における学校の質的向上-質の領域・原理・規準-
序節 「ESD学校」における質の領域
第1節 コンピテンシー
第2節 学習文化
第3節 学習集団
第4節 学校文化
第5節 学校開放
第6節 教職員の資質向上
第7節 資源
第8節 学校経営
第9節 学校教育計画
参考文献
「トランスファー21」に関する文献
第5章 ESDを取り入れた学校教育計画-基礎・構成要素・事例-
序節 学校教育計画とESD
第1節 学校教育計画の開発手順
第2節 ESDを取り入れた学校教育計画の構成要素
2.1 「手始め」としての学校プロフィールづくり
2.1.1 学校プロフィールの機能
2.1.2 学校プロフィールの内容と構成に関する主な質問項目
2.1.3 学校プロフィール作成の方法
2.2 ESDの理念
2.2.1 理念の役割
2.2.2 理念策定のための質問項目
2.2.3 理念策定の手順と方法
2.3 現状把握
2.3.1 現状把握の機能
2.3.2 現状把握のための質問項目
2.3.3 現状把握の手順と方法
2.4 目標と計画
2.4.1 目標と計画の機能
2.4.2 目標および計画策定のための質問項目
2.4.3 目標から計画へ
2.5 評価
2.5.1 評価の機能
2.5.2 評価のための質問事項
2.5.3 評価の手順と方法
2.5.4 「アジェンダ21国際推進校」に向けて
参考文献
監訳者解説(卜部匡司)
監訳者あとがき(由井義通)
前書きなど
▼推薦の言葉(ユネスコ日本政府代表部特命全権大使 木曽功)
ユネスコ日本政府代表部は、ユネスコ加盟国としての責務を果たすために日本政府が設立した在外公館のひとつです。ユネスコには世界195か国が加盟国となっており、多くの国が日本と同様にユネスコに対する政府代表部を開設しています。
ユネスコの主な活動として、文化事業として世界遺産の保護に取り組んでいることはよく知られていると思いますが、教育事業としては、識字率を上げることを目的とした「万人のための教育」とともに、先進国・途上国を通じた課題である「持続可能な開発のため
の教育(ESD)」への取り組みを推進しています。
持続可能な開発をあらゆるレベルで具体化していくためには、人づくり、とりわけ、教育が重要であると思います。そのために、ユネスコ日本政府代表部としてもESDの推進によって、ユネスコの理念である世界平和の実現に貢献できればと思います。
本書は、ユネスコを主導機関として2005年に開始された「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年(2005~2014年)」において日本とともにESDの普及の先頭に立ってきたドイツにおけるESDの指導指針であり、日本の学校におけるESDの指針作成と実践に大いに活用いただけるものと思います。
▼推薦の言葉(広島大学名誉教授・広島経済大学名誉教授、元日本ユネスコ国内委員 中山修一)
持続可能な開発のための教育(ESD)の推進は、教育振興基本計画(2008年)と新学習指導要領に盛り込まれた我が国教育改革の新たな課題です。
本書の原著は、ESDの推進に関し世界を代表する二つの基本的な手引書のひとつとして、その日本語訳はかねてより待たれていました。他のひとつは、ユネスコが、2002年にウェブ公開したTeaching and Learning for the Sustainable Future(『持続可能な未来のための学習』立教大学出版会)です。ドイツの手引書は、ESDが目指すべき能力(コンピテンシー)を体系的に整理した点で実に意義深いと言えます。またドイツは、日本政府が2002年のヨハネスブルグサミットで提案した「国連ESDの10年」以前の1997年に、国家基本法の中に持続可能な開発の重要性を盛り込んだ国です。それを受けて策定されたドイツ版ESDの本書は、日本の学校に関わるESD推進に貴重なヒントを与えてくれるものと確信しています。