目次
【目次】から
第1部 フィリピン革命史研究からオリエンタリズム批判へ———レイナルド・C・イレート
第1章 一八九六年革命と国民国家の起源
第2章 知と平定——フィリピン・アメリカ戦争
第3章 オリエンタリズムとフィリピン政治研究
第2部 アメリカ植民地主義と異文化体験———ビセンテ・L・ラファエル
第4章 白人の愛—— アメリカのフィリピン植民地化とセンサス
第5章 植民地のドメ家庭スティ的訓化シティ状況——帝国の縁辺で生まれた人種、一八九九〜一九一二年
第6章 ネイションフード国民性を予見して—— フィリピン人の日本への対応に見る自己確認、協力、うわさ
第3部 変わるホセ・リサール像———フロロ・C・キブイェン
第7章 リサールとフィリピン革命
第8章 フィリピン史をつくり直す
前書きなど
『キリスト受難詩と革命—— 一八四○〜一九一○年のフィリピン民衆運動』(一九七九年)(Ileto, 1979)の刊行で、フィリピン革命史研究に新たな地平を切り拓き一躍脚光を浴びたレイナルド・C・イレート、『契約としての植民地主義—— 初期スペイン統治支配下のタガログ社会における翻訳とキリスト教への改宗』(一九八八年)(Rafael, 1988)で、植民地社会の分析にポスト構造主義理論を導入する意欲的試みに成功したビセンテ・L・ラファエル——この二人のフィリピン人歴史学者は、一九八○年代以来、内外のフィリピン研究はもとより、東南アジア研究に多大の影響を与えてきた。そして、近年、気鋭の政治学者として、フロロ・C・キブイェンが『挫折した民族—— リサール、アメリカのヘゲモニー、フィリピン・ナショナリズム』(一九九九年)(Quibuyen, 1999)を著し、アメリカ植民地時代に定説化したフィリピンの国民的英雄ホセ・リサールの偶像の脱構築に挑戦した。本書は、意欲的かつ刺激的な研究活動を続け、それゆえにさまざまな論争を巻き起こしている、三人の優れたフィリピンの研究者の示唆に富む論文八篇を選りすぐり、翻訳したものである。