目次
まえがき
第Ⅰ部 説得研究の基礎
第1章 説得研究の基礎知識
1節 説得とは何か
1.説得の定義
2.説得と類似概念の差異
3.説得事態の基本的構成要因
4.説得研究の課題
2節 説得研究の特色
1.説得研究の歴史
2.説得研究の位置づけ
3.説得研究の方法
4.説得の諸理論
5.入力出力マトリックス・モデル
3節 説得研究の領域
1.説得力に及ぼす源泉変数の効果
2.説得力に及ぼすメッセージ変数の効果
3.説得力に及ぼすチャンネル変数の効果
4.説得力に及ぼす受け手変数の効果
5.説得力に及ぼすターゲット変数の効果
4節 説得研究の展開
1.コミュニケーション論からの説得研究再考
2.説得研究の問題点と発展の方向性
第2章 態度変容研究ての説得研究
1節 従来の研究における主要な態度の定義
2節 態度に関する実証研究の概観
1.強化論的観点に立つ態度の実証研究
2.認知論的観点に立つ態度の実証研究
3.態度の数理モデル論的実証研究
3節 態度についての,人間の情報処理過程に着目する認知論的観点
4節 意思決定のための認知構造としての態度概念
研究例1 「禁じられた玩具」実験によって明らかになった認知的不協和効果が長期的に行動指標においても持続する
研究例2 認知処理深度とThurstone型態度尺度による社会的判断:対象について考えることが社会的判断の「ゆれ」を少なくする
研究例3 多重カテゴリー対象についての認知では,態度アクセスビリティが高いカテゴリーの認知ほど記憶再生されやすい
第3章 説得と言語スタイル
1節 はじめに
2節 メッセージの印象への影響
3節 情報源への影響
4節 議論の処理への影響
5節 今後の課題
研究例1 相手の負担が大きいと間接化する:要求表現の状況的使い分け
研究例2 話し手の権力-非権力スタイルが説得に及ぼす影響
研究例3 標準発音と方言発音による協力要請
研究例4 修辞疑問は態度変化を生じやすいか?
第4章 日本における説得研究の展開と現状
1節 日本の説得研究の概観
2節 説得の全体的問題
3節 源泉変数
4節 メッセージ変数
5節 受け手変数
6節 文脈変数
7節 特殊な説得研究
8節 まとめと課題
研究例1 わが国の説得研究の原点
研究例2 恐怖喚起コミュニケーションの説得効果の規定因とその生起機制
研究例3 説得における二過程モデル
研究例4 心理的リアクタンスと説得への抵抗
第Ⅱ部 感情と説得
第5章 感情・気分と説得
1節 研究の展開
1.初期の研究
2.説得に対する情報処理的アプローチ
2節 感情がメッセージの処理方略に与える影響
1.実証的研究
2.処理方略への影響のメカニズム
3.ネガティヴ感情と処理方略との関係
3節 説得の受容に与える影響
1.認知反応へのバイアス機能
2.ヒューリスティック手がかりとしての機能
3.ポジティヴ感情が説得効果を促進するプロセス
4.PNA現象
4節 感情の機能のまとめと今後の課題
1.感情の機能のまとめ
2.今後の課題
研究例1 説得メッセージの情報処理の精緻化に及ぼすムードの影響
研究例2 説得と広告の情報処理に及ぼすムードの影響
研究例3 説得情報の処理に及ぼす不快感情の影響
第6章 ユーモアと説得
1節 説得的コミュニケーションとユーモア
1.ユーモアとは
2.ユーモアの社会的影響
2節 説得に及ぼすユーモアの効果に関する研究の動向
1.「説得に及ぼすユーモアの効果」とは?
2.説得に及ぼすユーモアの効果に関する研究の流れ
3.説得に及ぼすユーモアの効果と広告研究におけるユーモアの効果
4.説得に及ぼすユーモアの効果に関する仮説とその根拠
3節 説得に及ぼすユーモアの効果に関する実証的研究
1.実験条件の整理
2.先行研究における方法論的問題
3.説得に及ぼすユーモアの効果の検討
4.説得過程に及ぼすユーモアの効果の検討
4節 ユーモアの効果に関する理論的考察
1.精査可能性モデル(ELM)による考察
2.ヒューリスティック-システマティック・モデル(HSM)による考察
5節 展望
1.説得に及ぼすユーモアの効果に影響を与える要因
2.ユーモアの効果の生起メカニズムの再検討
研究例1 交渉術としてのユーモア
研究例2 ユーモラスなイラストの説得効果
研究例3 広告効果に及ぼすユーモアの影響
研究例4 説得に及ぼすユーモアの種類と量の効果
第7章 恐怖感情と説得
1節 関連恐怖感情と説得
1.恐怖喚起コミュニケーション研究の概要
2.恐怖喚起コミュニケーション研究の動向分析の視点
3.説得効果の規定因に関する研究
4.説得効果の媒介因に関する研究
5.説得効果の生起に果たす恐怖感情の役割
2節 無関連恐怖感情と説得
1.無関連恐怖喚起状況下での説得研究の展開
2.無関連恐怖喚起状況下での説得に関する過去の研究
3.無関連恐怖喚起状況下での説得効果促進メカニズム
4.説得に及ぼす無関連恐怖と関連恐怖の効果の比較
研究例1 恐怖喚起コミュニケーションの教育場面への応用
研究例2 恐怖喚起コミュニケーションの説得効果の強靭性
研究例3 説得における無関連恐怖の機能
第8章 説得への反発:心理的リアクタンス理論
1節 リアクタンス理論の概要
1.リアクタンス理論の要点
2.リアクタンス理論の課題
2節 リアクタンス研究の現状
1.自由への脅威
2.ディスクレパンシー仮説
3.自由とリアクタンス効果
4.リアクタンスの効果・測度
5.リアクタンス効果の調整変数
3節 リアクタンス研究の課題
1.文化差
2.説得媒体の効果
3.予防・回避
4.リアクタンスの説得効果
研究例1 態度の自由への脅威は説得への抵抗をもたらすか?
研究例2 自由の事前行使はリアクタンス喚起を抑制するか?
研究例3 順態度的脅威がリアクタンスを喚起するか?
研究例4 リアクタンスに及ぼす自由への脅威のU字型効果
第Ⅲ部 認知と説得
第9章 脅威認知・対処認知と説得:防護動機理論
1節 脅威アピール研究における防護動機理論の位置づけ
2節 防護動機理論の概略
1.初期の防護動機理論の特徴
2.相乗的結合仮説の検討
3.修正された防護動機理論
4.健康行動の意思決定に関する認知モデルとの比較
3節 防護動機理論研究の分析的展望
1.理論検討のための4つの作業仮説
2.研究の概観
3.PMT研究における仮説の検討
4.結論
4節 発展の方向性
研究例1 オリジナルな防護動機理論の検討
研究例2 脅威アピール効果に対する脅威認知と対処認知の機能差
研究例3 脅威アピール研究をエイズ予防教育に応用する場合の問題点
第10章 情報処理と説得:精査可能性モデル
1節 精査可能性モデルの概要
1.精査可能性モデル提出の背景とその意義
2.精査可能性モデルの7つの仮定
3.ヒューリスティック-システマティック・モデルとの比較
2節 説得要因に関する研究視点の推移と精査可能性モデル研究の動向
1.第1世代の研究
2.第2世代の研究
3.第3世代の研究
3節 精査可能性モデル研究の課題
1.中心的ルート処理と周辺的ルート処理の相互作用
2.周辺的ルート処理の概念の広さから派生する問題
3.第3世代の研究にあわせたモデルの修正
研究例1 中心的ルートと周辺的ルートによる態度変容の実証
研究例2 動機づけ要因と能力要因が精査および態度変容に及ぼす影響
第11章 ディスクレパンシーと説得:認知の陰陽理論
1節 認知の陰陽理論構築の経緯
1.認知的不協和理論による検証計画
2.一連の実験とある1つのアイデアの発生
2節 認知の陰陽理論とは
1.認知の陰陽理論の基本的原理
2.物事は正負二面性をもち,かつ一体である
3.二つの面のうち,一つが現われているとき,もう片方の面は隠されている
4.隠されている面は常に表面に現われようとする
5.認知の球形モデルと陰陽の境のサインカーブ・モデル
6.潜在している側面の顕在化力は潜在している程度に比例する:認知の陰陽理論による予測
7.意見の符号と意見変容の関係
8.人の意見は「中」による
3節 マイルドなコミュニケーションを呈示した場合の4つの理論からの予測
1.認知的不協和理論からの予測
2.社会判断理論からの予測
3.心理的リアクタンス理論からの予測
4.認知の陰陽理論による予測
4節 認知の陰陽理論の応用テクニック
1.ブーメラン反応
2.ブーメラン・テクニック
5節 認知の陰陽理論による既存の説得テクニックの解釈
1.役割演技法
2.強制的承諾法
3.集団討議法
4.決定・公表効果
5.同調行動
6節 「認知の陰陽理論」だけが陰陽理論的か
1.「認知の陰陽理論」と類似している西洋生まれの理論
2.「認知の陰陽理論」と従来の態度変容理論の類似点
研究例1 説得に及ぼすディスクレパンシーと情報源の影響
研究例2 説得に及ぼすディスクレパンシーと情報源の信憑性の影響
第12章 予告情報と説得
1節 予告とは
2節 予期的態度変化
3節 説得に及ぼす予告の効果
1.予告が説得に及ぼす直後の効果
2.予告が説得に及ぼす長期的効果
4節 今後の課題
研究例1 説得を予期するだけで態度が変化する
研究例2 警告による説得への抵抗
研究例3 予告の評価的性質
研究例4 予告効果の持続