前書きなど
あとがき<br> 家庭養護促進協会の研修会であさみちゃん(仮名)のお話を聴き、大変、感銘を受けこの絵本を作りました。そして、2002年ひょうご芸術文化センター主催の「第20回手づくりの絵本展」において優秀賞をいただき、たくさんの方の支援により2003年(株)かんぽうから予約注文出版することができました。ちょうど出版が実現した年に、私たち夫婦は児童養護施設神戸少年の町の分園型ファミリーグループホームをスタートしました。私にとってあさみちゃん家族との出会い、この絵本づくりがこのホームに取り組む大きなしるべとなったように感じます。<br> 大きな責任と不安を胸にスタートした野口ホーム。今、下は幼稚園児、上は中学2年生の計5名の子どもたちと生活しています。スタート当初、泣きながら抱っこをして幼稚園に通っていた子が一人で小学校に喜んで登校できるようになったり、一人で留守番できなかった子が、一人で食事も作って留守番できるようになったり・・。その当初の“不安”は確実に子どもたちの成長を実感することで“喜び”へと変化し、絆を強め、今も私を奮い立たせてくれています。<br> 前回の出版の後、たくさんの方々から反響をいただきました。この本ではじめて施設や里親について知ったという方、自分の家族を振り返ったという方、何か自分もしていきたいという方、また、里親をされてる方や施設関係の方と意見交換ができたり。学校などでの教育に取り入れていただいたり。予想を超えてあさみちゃん家族がたくさんの方々の心を惹きつけたようです。<br> さまざまな家族があり、さまざまなしあわせのかたちがある。バラバラになっていく家族、さまざまな事件、家族の問題が問われる昨今、人と人がしっかりと向き合って生きていくことでつながっていける“ほんとうにかぞく”となっていける。“人と人との可能性”を感じました。<br> 今回の出版におきましては、庄司順一先生からご縁を頂き、明石書店の高橋様、曽我様、吉田様のお力によって、このようなすてきな絵本として出版していただきましたことを心からお礼申し上げます。よりたくさんの方の目に触れ、“家族”について考えるきっかけになればと思いました。そして、読んでくださった皆さま、ありがとうございました。<br> “かぞく”を求めている子どもたちが一人でも多く“ほんとうにかぞく”と出逢えますように・・・。<br><br>2005年5月 のぐちふみこ